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緊張と緩和

ギターとかジャズとか格闘技とか

「VTJ前夜の中井祐樹」を読んだ

格闘技やってる人にはぜひおすすめしたい本です。

VTJ前夜の中井祐樹

VTJ前夜の中井祐樹

3つ短編が収められてますがとくに表題作の「VTJ前夜の中井祐樹」がとくに印象に残りました。1995年のバーリトゥードジャパンオープン95の中井祐樹VSジェラルド・ゴルドーの伝説の一戦を中心にその試合に至る人間関係とその後が書かれています。

以下Amazonの紹介文です。

平成元年(一九八九年)四月。まだ雪が残る北海道大学キャンパス。十八歳の柔道未経験、白帯の青年が柔道場に見学にやってきた。札幌北高校レスリング部出身の中井祐樹であった。中井は増田俊也ら上級生による関節技のデモンストレーションに感動し、その場で入部を決める。六年後、北大柔道部を引退後、大学を中退してプロ格闘家となった中井は、一九九五年、日本武道館で行なわれたバーリトゥードジャパンオープン95(VTJ95)という過酷なワンデートーナメントに一七〇センチ、七〇キロという小柄な身体で出場、北大柔道部で身に着けた寝技を武器に戦っていく。ヒクソン・グレイシーから「サムライ」と呼ばれた男が得たものと、失ったものとは──。


バーリトゥードジャパンのあの試合(ゴルドーの反則行為で中井祐樹が失明した事件)のドキュメンタリーと思って読み始めたのですが違いますね。
「生と死のありかた」
そして、
「生死を賭けて戦うことの意味」
について書かれています。
・格闘技の未来を切り開こうとする熱い想い
・七帝柔道で共に若い魂を燃やして戦ったきた仲間へ想い
これに突き動かされてあの死闘があったのかと思うとこみ上げてくるものがあります。読み進めながら何度か涙が溢れてきました。

格闘技やってる人は、

  • 必死で戦っているときの轟々と魂が燃えて生きてることを実感する瞬間の満たされた気持ち
  • 激しい試合を戦った対戦相手、あるいは、厳しい練習を一緒をやってきた仲間に対しての愛おしさ

の2つの気持ちを感じたことがあるのではと思います。
そんな人がこの本読むとすごく感動するのではと思います。


そして作品中のこの文章、

この大会が、本当の意味で日本のMMA(総合格闘技)の嚆矢となった。
神風を起こしたのは、たしかにグレイシー一族でありUFCであった。
しかし、神風が吹くだけでは大きな波がおこるだけで、その波を乗りこなせるサーファーがいなければ、波はただ岸にぶつかり砕けて消えるだけだ。
神風が起こした大波を、右眼失明によるプロライセンス剥奪という死刑宣告と引き替えに乗りこなした中井祐樹がいたからこそ、日本に総合格闘技が根付き得た。それだけは格闘技ファンは絶対に忘れてはいけない

これは本当に忘れてはいけない、あの試合で中井祐樹が燃やしたものを忘れてはいけない、と強く思います。