緊張と緩和

ギターとかジャズとか格闘技とか

映画『ブルーに生まれついて BORN TO BE BLUE』を見ました

風邪で数日床に臥せっていました。
時間があるのでこれチャンスと以前から気になってた映画を見ました。
見た映画はチェット・ベイカーの自伝映画『ブルーに生まれついて BORN TO BE BLUE』(2015年制作)です。

チェット・ベイカーの映画といえば、『LET'S GET LOST』(1988年制作)というドキュメンタリー作品があるのですが、今回見たのは、事実をもとにしたフィクションらしいです。たぶん。

物語的には、1960年代中半から1973年までを描いています。チェット・ベイカーがイタリアで逮捕されてから1973年にディジー・ガレスピーの尽力で復活するまでの物語。喧嘩で前歯を折られるというエピソードも含まれます。

チェット・ベイカーをダメ男として描かれてる的な映画のあらすじを聞いてたので、「ダメ男を叙情的に描いた映画だったら嫌だなあ」と思ってたのですが、そんなことは無く、クールで飄々として生命力あるチェット・ベイカーが描かれてます。だからこそ映画の結末はとてもつらいです。重すぎる選択に何も言えなくなってしまいます。音楽への業の深さというか、なんでしょうね。やるせない気持ちになります。

この映画のその後のチェット・ベイカーについては、『LET'S GET LOST』でドキュメンタリー映画になっています。最晩年の1987年~1988年に撮影された映像です。五十過ぎとも思えないシワだらけの顔に驚かされます。そこにはヘロインに溺れた日々が刻まれてるように見えます。でも、そんな外見でも歌い出すとあの頃の甘くロマンティックな歌声です。若さはもうないがその代わりに枯淡の味わいが増し、それでもまだまだ甘さがある。なんていうか、音楽への逃れられない業の深さに残酷さを感じます。

というわけで、『ブルーに生まれついて BORN TO BE BLUE』を見たら『LET'S GET LOST』もあわせて見たいのですが、日本版のDVDは発売してないんですね。。日本版発売しないですかね...。

そういえば、今年はチェット・ベイカーが亡くなって30年目です。
偶然ですが、良い節目で見れたのもよかったです。

ジャズに興味ない人でも楽しめる映画と思います。




11/26(土)公開『ブルーに生まれついて』予告編



Let's Get Lost - Trailer