「VOICE OF BLUE 舞台上で繰り広げられた真実のジャズ史をたどる旅」を読んだ
おもしろかったです。
VOICE OF BLUE 舞台上で繰り広げられた真実のジャズ史をたどる旅
- 作者: 高内春彦
- 出版社/メーカー: リットーミュージック
- 発売日: 2017/04/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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「ミュージシャンの視点からジャズの歴史を語る書籍」とのことです。
なので、ジャズを年表的に時代を追ってみていく、というのではないです。あくまでもミュージシャン視点で歴史を語っています。音楽的な変化だったり、演奏の現場であったり、レコードやCDの売上だったり、著者の経験から語られてます。経験ベースなのでリアルです。こういうジャズの本って今までなかったのでとてもおもしろい。
個人的には「第3章 モードの真実」が特におもしろかったです。
ビバップからモードへの変遷って、書籍によっていろんなことが書かれててどれも興味を惹かれます。どれが正しいとかどれが間違ってるとか、そういうことでは無いんだなあと思ってます。多様な条件や理由がビバップからモードの動きを作ったのではないかなと個人的に思ってます。(そもそも歴史として語られる時点で、語る人のバイアスが加わるものなので精緻な歴史なんて存在しない、と思う)
音楽的な説明もすこしありますがダイアトニックが分かってたら問題なく読めるかと思います。
ジャズがすきな人ならたのしく読める本と思います。
ジェラルド・クレイトン・カルテット@丸の内コットンクラブ
6月6日(火)の2ndセットに行ってきました。
仕事的にムリだったので諦めてたのですが、諦めきれず当日の19時20分に電話予約して、丸の内コットンクラブへダッシュして19時40分に到着。会社が近くで助かった。
メンバーは、
ジェラルド・クレイトン (pf)
ローガン・リチャードソン (as)
ジョー・サンダース (b)
ケンドリック・スコット (ds)
すごいメンバーです。ドリームチームです。このメンバーが一度に見れることは貴重。
- ジェラルド・クレイトンのピアノはCDで聞くよりも淡い演奏。正直言うと「控えめだなあ」と思った。前にガンガン出て来てグイグイ演奏をリードするピアノとは正反対。しかし前に出てこないのに演奏をガッチリ支配してたことにあとで気づく。
- 絵を描くようなピアノ。丁寧に色彩を描いていくような感じ。
- 今まで触れたことが無い感触のハーモニー。
- ハーモニーが独特で引き込まれる。ケンドリック・スコットが複雑で激しいビートを叩いても、ローガン・リチャードソンがブリブリ吹いても、カルテット全体の演奏としては丁寧に絵画を描くような演奏が続いていく。こういうの経験したことないのでとても不思議。
- ケンドリック・スコットのドラムがとにかくすごかった。圧倒的。
- ジョー・サンダースは半分くらいシンセベースをプレイしてて、「ズー-ーーーン、、、ズー-ーーーン」みたいな音を出してた。
- ローガン・リチャードソンは、ポール・デスモンドみたいな繊細でふわっとした音を出しながらときどきグッと激しくドライブする場面が何度もありよかった。2015年に出たローガン・リチャードソンのリーダー作「Shift」はすごく好きで何度も聞いてるので、ライブでプレイが聞けてよかった。
何の曲を演奏したか覚えてない(セットリストをメモすることに意味が無いように感じた)。アンコール前に演ったのが、アルバム「Tributary Tales」に入ってる「SoulStomp」ってことくらいしか覚えてない。
絵画を描くような演奏、というのがライブ全体をとおして感じたこと。なので「この曲やった」「あの曲やった」はあまり意味が無いような気がする。
とはいっても「ふわっと演ってふわっと終わった」ということではなくガツンと記憶に残る演奏が見れた。うーむ、なんかとても表現しにくい。
バタバタで行き当たりばったりで行ったが行って本当によかったです。
ブルーノート東京のSTUDENT PLAN
ブルーノート東京にSTUDENT PLANという割引サービスがあることを先日知りました。
良いですね。
プルーノート東京だけでなくコットンクラブでも同じサービスがあるとのことです。
ジャズのライブで若い方をよく見るようになりました。
先日見に行ったマーク・ターナーのライブでも隣のテーブルが学生さんでした(演奏や理論のことを熱く語ってたのでおそらくジャズ研の方?)。
若い方にジャズの演奏に触れる機会が増えればいいなと思います。
僕が20代の頃にもっとジャズを聞きに行けばよかった、と思うので。
ブルーノートは高いですが、世界最高峰の演奏が聞ける場所なので、若い人に最高の演奏を聞く体験をする機会があっていいのではと。
それにしてもミュージックチャージ50%OFFはお得ですね。
マーク・ターナー・カルテット@丸の内コットンクラブ
4月20日(木)の2ndセットに行ってきました。
メンバーは、
マーク・ターナー (ts)
ラーゲ・ルンド (g)
ジョー・サンダース (b)
マーカス・ギルモア (ds)
曲目をメモするのを完全に忘れてました。忘れてたことをこの文章書く今気づきました。『Lathe Of Heaven』からの曲がほとんど(全て?)だったと思います。
あっという間の70分でした。実に密度の濃い70分。
- マーカス・ギルモアはチック・コリアトリオで一度見てるのですが、今回さらによかったです。
- ラーゲ・ルンドはトリオの演奏のような複雑なボイシングは控えめだった印象でしたが、演奏全体をふわっと覆うような浮遊感のある演奏。ハーモニーの迷宮に迷い込んだような目くるめくソロがすばらしい。
- ジョー・サンダースははじめて聞きました(あとで気づいたのですが、ジェラルド・クレイトンと一緒に演奏してたアルバムを持ってました)。席の位置の問題なのかベースの音が小さかったのが残念。ライブ冒頭のベースのソロが良かったです。あと白いメガネかわいい。
- マーク・ターナーは何と言ってもあの音色を生で聞けたのが最高でした。繊細で知的。それでいてときおりぐっとアクセルを踏む込んで静かに回転数を急上昇させるような瞬間もすごくよかった。
全体的な印象としては、
アルバム『Lathe Of Heaven』の静寂で知的な印象はそのままなんだけど、力強さや確実さといういままで見えてなかった質感がダイレクトに伝わったライブだったなあと。
輪郭を感じることでディティールが明確になったと言うか。
モノに触れたことで存在性が増したと言うか。
印象派の絵画をナマで見た時の「質感」や「生命力」まで伝わるリアルさ
という感覚が自分的には一番近いかな。
ライブで聞いてはじめて見えてくるものってあるんだなあ、という認識を新たにしました。
ラーゲ・ルンドのセッティング。