緊張と緩和

ギターとかジャズとか格闘技とか

今月聞いた新譜(2019年9月)

例によってリリースされて半年未満のものは新譜という括りで。


IMAGINARY FRIENDS

IMAGINARY FRIENDS



Ralph Alessiです。
よく知らなかったのですが、サンフランシスコ出身のトランペッターとのこと。
ECMでのリーダー作は3作目らしいです。全9曲のすべてがRalph Alessiの作曲。

メンバーは下記。

Ralph Alessi (tp)
Ravi Coltrane (ts,ss)
Andy Milne (p)
Drew Gress (bass)
Mark Ferber (ds)


編成はオーソドックスなカルテット。なのに出てくる音はキリッとした透明感を感じるECMらしい音です。
曲の中に大きな変化はなく、起伏が無いまま淡々と静かに進んでいきます。
聞いているうちに景色がぼんやり浮かんでくるような気がします。
水墨画のような淡い色彩で風景をゆったり描いてるような感じです。

今月聞いた新譜(2019年7月)

例によってリリースされて半年未満のものは新譜という括りで。



ポール・ブレイ・トリオのトリオのライヴ盤です。

メンバーは、
Gary Peacock(ベース)
Paul Motian(ドラムス)

ポール・ブレイはソロとトリオを数枚聞いたことあるくらいなのですが、このアルバムもポール・ブレイ的な美しさ。
さざ波のようにパルスが連続するところはまるで現代音楽のようでミニマル。
そして凛とした静謐感溢れるフレーズ。

じつは久しぶりに(3年ぶりくらいに)ポール・ブレイのCDを聞いたのですが「あーこれこれ。ポール・ブレイだ」とひとりでうなずいてしまった。それくらい自分にとっては強い個性を持ったピアニスト。ほんとに好きです。

このアルバムは1999年のスイスでのライブ録音。
なんでこれが今まで発売されてなかったんだろう?と思うくらい音がクリアでよいです。

ピーコックとモチアンのプレイも知的で良いです。

ポール・ブレイのソロ・ピアノを聞きたくなりますね。
『Open to love』を久しぶりに。

今月聞いた新譜(2019年6月)

例によってリリースされて半年未満のものは新譜という括りで。


Terrible Animals

Terrible Animals


ラーゲ・ルンドのリーダー作です。

Lage Lund (g)
Sullivan Fortner (p)
Larry Grenadier (b)
Tyshawn Sorey (ds)

春が過ぎた頃からラーゲ・ルンドを聞くことが多くなってます。
好みの音、好みのハーモニーというのが大きな理由な気がします。
落ち着くんですよね。
「ギターの演奏を聞いた」という満足感があります。
ジム・ホール的だから?パット・メセニーっぽいところが時々あるから?
いやそんなことはない。ぜんぜん違う。でも何となく過去のジャズギタリストたちの持ってる系譜的なものがチラリと見えそうな瞬間があったり。
新しいんだけどどこか伝統的な感じ。

演奏としては、全曲オリジナルです。
クリスクロスレーベルから出たカルテットはこれで5作目だけど、前作はニューヨークのリズムセクションに「ヨーロッパ的なジャズギターが入ってる」的な調和と違和感のバランスがおもしろかったけど、今作はちょっと違う印象。演者全員がスイングしてる印象がありました。

今月聞いた新譜(2019年5月)

例によってリリースされて半年未満のものは新譜という括りで。


エピストロフィー

エピストロフィー


ビル・フリゼールとトーマス・モーガンのデュオです。2016年3月ヴィレッジバンガードでのライブ盤。
セロニアス・モンク、シナトラ、ポール・モチアン、などバラエティーに富んだ曲が演奏されます。

このデュオは本当にいいですね。2人の音がすばらしい。
キリッとしていてスッとまっすぐに入ってくる音です。
グニャっとした幾何学的な図形のようなモンクの楽曲もスッと入ってくるのがなんともおもしろい。

2017年のデュオアルバム『Small Town』よりも温かみのある印象です。
静かな演奏なので仕事しながらとか通勤しながらとかには向かない音ですね。聞こえないので。
寝る前にそっと流すととても心地良い。

今月聞いた新譜(2019年4月)

例によってリリースされて半年未満のものは新譜という括りで。


A Wall Becomes A Bridge

A Wall Becomes A Bridge


ケンドリック・スコットです。
聞いた第一の感想は『洗練』。これが今のジャズの音か-と唸ってしまう。
そしてなんともクリアな印象。透明度の高い水が流れているのを眺めているような感覚。高原の小川を見てるような。
とはいえ、毒にも薬にもならないようなスッキリした音楽かというとそんなことではなく、ヒップホップ的な味付けもあり、黒いエッセンスは入ってる、はずなのに洗煉と透明感。なんとも謎な音楽。
今年出た新婦の中でもっとも回数多く聞いてるかもしれない。しばらくはこれをかけまくると思う。