緊張と緩和

ギターとかジャズとか格闘技とか

ナチュラルマイナーのダイアトニックコード

メジャーキーの構成は理解できたけど、マイナーキーの時に「ドミナントは何の和音だっけ?」とか「この構成音なんだったけ?」とかなりがちなのでまとめてみました。

ナチュラルマイナーのダイアトニックスケール。
Im7・Ⅱm7(♭5)・Ⅲ△7・Ⅳm7・Ⅴm7・Ⅵ△7・Ⅶ7
の順番になります。

それぞれのキーの構成音を表にするとこんな感じ。

R 3 5 7
Cm7 C E♭ G B♭
Dm7(b5) D F A♭ C
E♭△7 E♭ G B♭ D
Fm7 F A♭ C E♭
Gm7 G B♭ D F
A♭△7 A♭ C E♭ G
B♭7 B♭ D F A♭
R 3 5 7
Dm7 D F A C
Em7(b5) E G B♭ D
F△7 F A C E
Gm G B♭ D F
Am7 A C E G
B♭△7 B♭ D F A
C7 C E G B♭
R 3 5 7
Em7 E G B D
F♯m7(b5) F♯ A C♯ E
G△7 G B D F♯
Am7 A C E G
Bm7 B D F♯ A
C△7 C E G B
D7 D F♯ A C
R 3 5 7
Fm7 F A♭ C E♭
Gm7(b5) G B♭ D♭ F
A♭△7 A♭ C E♭ G
B♭m7 B♭ D♭ F A♭
Cm7 C E♭ G B♭
D♭△7 D♭ F A♭ C
E♭7 E♭ G B♭ D♭
R 3 5 7
Gm G B♭ D F
Am7(b5) A C E♭ G
B♭△7 B♭ D F A
Cm7 C E♭ G B♭
Dm7 D F A C
E♭△7 E G B♭ D
F7 F A C E♭
R 3 5 7
Am7 A C E G
Bm7(b5) B D F A
C△7 C E G B
Dm7 D F A C
Em7 E G B D
F△7 F A C E
G7 G B D F
R 3 5 7
Bm7 B D F♯ A
C♯m7(b5) C♯ E G B
D△7 D F♯ A C♯
Em7 E G B D
F♯m7 F♯ A C♯ E
G△7 G B D F♯
A7 A C♯ E G

コードの機能について

ダイアトニックコードの7つそれぞれにはそれぞれ機能があります。
『機能』というと分かりにくいかもしれませんので『役割』と思ってもらってもOKです。和音・コードがどんな役割を担うことで音楽を進行することが出来るのかについてのお話です。
機能(役割)というのは大きく分けて『安定』『不安定』になります。音楽という物語を進めてくうえでお話の展開が必要です。「むかーしむかしおじいさんとおばあさんがおりました」と平穏で安定した場面から物語がはじまって、「鬼退治に行きました」という緊張・不安定状態でドキドキさせて、「見事鬼を退治しました。おしまい」と安定に着地してほっとする、という展開です。
音楽にもこれと同じで物語をすすめるために「お話がはじまるワクワク」「緊張・不安定ドキドキ」「よかったねおしまいとほっとする」という展開があります。
これがトニック、ドミナントサブドミナントという3つの機能です。
まとめるとこんな感じ。

それぞれ見ていきます。

トニック

「よかったねおしまい」とほっとするのがトニックです。
Key=Cの場合はC△7(Ⅰ△7)です。
ルートを持ってるために安定した音を持つキーの主役的なコードです。
曲の最期などはトニックで終わると終止感が出ます。

ドミナント

非常に不安定なコードです。トニックへ力強く進もうとする性質があります。
安定感のトニックの対局に位置するのがドミナントです。
Key=Cの場合はG7(Ⅴ7)です。
さっきの昔話の例えもそうなんですが、不安定な要素は物語や音楽を進めるうえでとても重要な要素です。「不安定」でドキドキさせて「安定」でホッとさせる、というありがちな展開にあるように、お話や音楽をすすめていくには重要です。不安定要素がお話・音楽をすすめていく推進力になってる、と言えると思います。

では、なぜドミナント→トニックが力強い動きなのか?
G7(Ⅴ7)は3度と7度が増4度という不安定な音程になってます。
(G7の構成音:G B D F)※Bが3度、Fが7度
この増4度をトライトーン(全3音)と呼びます。
全3音とは全音3つ分の距離のことです。
このBとFが安定をもとめて半音下のCとEに進みたがります。
そうすると、C E G DとなりC△7になります。
このように「不安定だから安定したい!」という動きが強い推進力になるのです。

強い動きのもうひとつの理由は強進行です。
強進行とはある音から完全5度下(または完全4度上)にすすむ動きのことです。
C→FやG→Cはスムーズでガッチリとコード進行してる印象があると思います。これは完全5度下(または完全4度上)という強い力ですすんでるからです。

この2つの力でドミナント→トニックは強い動きになっています。

サブドミナント

Key=Cの場合はF△7(Ⅳ△7)です。
トニックやドミナントほど強い性格ではないです。なので役割もそんなに強く無いです。強くないですがこいつもトニックに進もうとする動きがあります。
さっきの昔話の例えでいえば「むかーしむかしおじいさんとおばあさんがおりました。大きな桃を拾ってきました」みたいな「お、これから何かはじまるぞ!」という不安・緊張までは行かないけどワクワク感を出そうとする役割といったところでしょうか。

主要コードと代理コード

Ⅰ△7とⅤ7とⅣ△7で説明しましたが他のコードはどんな役割か。
それぞれトニック、ドミナントサブドミナントに分類されます。
分類の理由は構成音が似てるものでそれそれのグループに振り分けられます。

主要コード 代理コード
トニック Ⅰ△7 Ⅲm7、Ⅳ△7
ドミナント Ⅴ7 Ⅶm7(♭5)
サブドミナント Ⅳ△7 Ⅱm7
とはいえドミナントにⅦm7(♭5)が出て来ることはほぼないかなと思います(たぶん)。

まとめ

機能をまとめるとこのようになります。

機能 T SD T SD D T D
コード Ⅰ△7 Ⅱm7 Ⅲm7 Ⅳ△7 Ⅴ7 Ⅵm7 Ⅶm7♭5
※スペースの関係で、T=トニック D=ドミナント SD=サブドミナント、としてます。

マイナースケールについて(3つの短音階)

「全・半・全・全・半・全・全」のインターバルがナチュラルマイナースケールというお話を以前書きました。
ダイアトニックスケールについて - 緊張と緩和
今回はマイナースケールには3種類あるよという話です。

マイナースケールには、

  • ナチュラルマイナースケール
  • ハーモニックマイナースケール
  • ロディックマイナースケール

という3種類があります。
この3種類いったい何が違うのか。

ナチュラルマイナースケール

全・半・全・全・半・全・全
のスケールです。
ナチュラルマイナースケールのことを自然的短音階とも言います。
人間の感覚から自然発生的に生まれたスケールで短調の基本となるスケールです。
半音による導音が存在せず、最後は全音で終わってます。ここがポイントでメジャースケールでは得られていた終止感が弱まり、不安定でスッキリしない音階だとされています。
Cナチュラルマイナースケールの場合、
C・D・E♭・F・G・A♭・B♭
となります。
最後がB♭。Cから順番に音を鳴らすと最後のB♭とCが何かつながり悪い気がします。

ハーモニックマイナースケール

ナチュラルマイナースケールの7音と8音(=ルート音)のつながりをスッキリ改良したのがハーモニックマイナースケールです。
7音と8音の間を半音にしました。
つまり、
全・半・全・全・半・全半・半
としました。
Cハーモニックマイナースケールの場合、
C・D・E♭・F・G・A♭・B
となります。
導音を持つことによりドミナント7thコードが形成されます。
ハーモニックマイナースケールのことを和声的短音階とも言います。
Cから順番に音を鳴らすとA♭とBの間が開き過ぎなことでちょっと変な感じがします。ここだけ1.5音も離れてるのでバランスがちょっとしっくり来ない。

ロディックマイナースケール

ハーモニックマイナースケールのバランスの悪さを改良したのがメロディックマイナースケールです。
全・半・全・全・全・全・半
としました。
Cハーモニックマイナースケールの場合、
C・D・E♭・F・G・A・B
となります。
ロディックマイナースケールを使用するのは上昇するメロディーのみで、導音の必要がない下降のメロディーにはナチュラル・マイナーを使用する、と言われてますが例外はあるようで『必ずそうすべし』ということでは無いようです。
ロディックマイナースケールのことを旋律的短音階とも言います。

まとめ

Cでまとめるとこうなります。

1 2 3 4 5 6 7
Cメジャースケール C D E F G A B
Cナチュラルマイナースケール C D E♭ F G A♭ B♭
Cハーモニックマイナースケール C D E♭ F G A♭ B
Cメロディックマイナースケール C D E♭ F G A B

ダイアトニックコードについて

前回ダイアトニックスケールについて書きましたがその続き。
ダイアトニックコードについて書きます。

ダイアトニックスケールの音階にお団子みたいに音符を並べると3和音、または4和音が出来ます。これによって出来た和音をダイアトニックコードと呼びます。

ダイアトニックコードには「Cメジャースケール」とか「Aメジャースケール」とか「Dマイナースケール」がありましたが、ダイアトニックコードもスケールをもとにしてるので「Cメジャーのダイアトニックコード」とか「Aメジャーのダイアトニックコード」とか「Dマイナーのダイアトニックコード」というのがあります。

メジャーのダイアトニックコードのみですが、それぞれのコードの構成音を表にみました。

R 3 5 7
C△7 C E G B
Dm7 D F A C
Em7 E G B D
F△7 F A C E
G7 G B D F
Am7 A C E G
Bm7(b5) B D F A
R 3 5 7
D△7 D F♯ A C♯
Em7 E G B D
F♯m7 F♯ A C♯ E
G△7 G B D F♯
A7 A C♯ E G
Bm7 B D F♯ A
C♯m7(b5) C♯ E G B
R 3 5 7
E△7 E G♯ B D♯
F♯m7 F♯ A C♯ E
G♯m7 G♯ B D♯ F♯
A△7 A C♯ E G♯
B7 B D♯ F♯ A
C♯m7 C♯ E G♯ B
D♯m7(b5) D♯ F♯ A C♯
R 3 5 7
F△7 F A C E
Gm7 G B♭ D F
Am7 A C E G
B♭△7 B♭ D F A
C7 C E G B♭
Dm7 D F A C
Em7(b5) E G B♭ D
R 3 5 7
G△7 G B D F♯
Am7 A C E G
Bm7 B D F♯ A
C△7 C E G B
D7 D F♯ A C
Em7 E G B D
F♯m7(b5) F♯ A C E
R 3 5 7
A△7 A C♯ E G♯
Bm7 B D F♯ A
C♯m7 C♯ E G♯ B
D△7 D F♯ A C♯
E7 E G♯ B D
F♯m7 F♯ A C♯ E
G♯m7(b5) G♯ B D F♯
R 3 5 7
B△7 B D♯ F♯ A♯
C♯m7 C♯ E G♯ B
D♯m7 D♯ F♯ A♯ C♯
E△7 E G♯ B D♯
F♯7 F♯ A♯ C♯ E
G♯m7 G♯ B D♯ F♯
A♯m7(b5) A♯ C♯ E G♯

Bm7(♭5)とかG♯m7(b5) で使われてる「b5」って何だよ!とむかし僕は疑問に思ったのですが、スケールの音だけを順番にお団子に並べるとこうなるんですよね。必ず7つ目の和音の5度がフラットになる。このあたりの規則正しさすばらしいですね。


で、
アドリブ弾くときは「いま何の和音を弾いてるか」と感じさせるフレーズを弾くことが基本で、そのためにはコードの構成音を意識してフレーズを弾くことが大事です。

たとえば、key=Cの曲であればCメジャースケールで弾けるのですが、適当にCメジャースケールの音を並べるだけでは取り留めの無いアドリブになってしまいます。そこで各コードの構成音を意識してアドリブ弾くとキチンと流れがあるアドリブになります。

また、
Key=Cの曲の中でCメジャーダイアトニック以外のコードが出てきた場合は、そのコードの箇所ではCメジャーダイアトニックスケール以外の音が使われてるので、Cメジャースケールのままアドリブ弾くと音程外してしまい音痴な演奏になってしまいます。その場合はCメジャースケール以外のスケールに切り替えてアドリブ弾く、ということになります。

ダイアトニックスケールについて

スケールの基本的概念であるダイアトニックスケールについてまとめてみます。
(個人的なおさらいのため)

メジャースケール

ある音を基準にして、
全・全・半・全・全・全・半
のインターバルで音を配置した音階がメジャースケールです。

Cを基準に「全・全・半・全・全・全・半」のインターバルで音を配置すると
C・D・E・F・G・A・B
となります。
これがCメジャースケールです。
ピアノの鍵盤でみると白鍵だけで弾けるやつです。一番馴染みがあるドレミファソラシドですね。

では、Dを基準にするとどうなるか。
Dから順番に「全・全・半・全・全・全・半」のインターバルで音を配置するとこのようになります。
D:D・E・F#・G・A・B・C#
EとF、BとCの間が半音なのでFとCを半音上げる音階になります。白鍵だけでは弾けないやつですね。
これがDメジャースケールです。

このように各音を「全・全・半・全・全・全・半」のインターバルで配置すると下記の表のようになります。

1 2 3 4 5 6 7
Cメジャースケール C D E F G A B
Dメジャースケール D E F# G A B C#
Eメジャースケール E F# G# A B C# D#
Fメジャースケール F G A B♭ C D E
Gメジャースケール G A B C D E F#
Aメジャースケール A B C# D E F# G#
Bメジャースケール B C# D# E F# G# A#

これらがメジャースケールです。

マイナースケール

ザックリと大雑把な言い方ですが、
明るい曲:メジャー
暗い曲:マイナー
という分け方があります。
世の中には暗い曲や悲しい曲があるわけで、そういう曲には暗いスケールであるマイナースケールを弾くことが多いです。
マイナースケールはメジャースケールとは音と音のインターバルが違います。

全・半・全・全・半・全・全

各音を「全・半・全・全・半・全・全」のインターバルで配置すると下記の表のようになります。

1 2 3 4 5 6 7
Cマイナースケール C D E♭ F G A♭ B♭
Dマイナースケール D E F G A B♭ C
Eマイナースケール E F# G A B C D
Fマイナースケール F G A♭ B♭ C D♭ E♭
Gマイナースケール G A B♭ C D E♭ F
Aマイナースケール A B C D E F G
Bマイナースケール B C# D E F# G A

おや?CメジャースケールとAマイナースケールって似てない?
と思うかもですが同じです。

メジャースケール:全・全・半・全・全・全・半・全・全・半・全・全・全・半
マイナースケール:全・全・半・全・全・全・半・全・全・半・全・全・全・半

とメジャースケールの第6音から始めたものがマイナースケールになります。言い方をかえれば、メジャースケールの5度下がマイナースケールとなります。ここは結構大きなポイント。
メジャースケールを覚えればマイナースケールも覚えることになるので一石二鳥です。便利ですね。



ただし、ここでマイナースケールと言ってるのはナチュラルマイナースケールです。
マイナースケールには3種類あり、

  • ナチュラルマイナースケール
  • ハーモニックマイナースケール
  • ロディックマイナースケール

というのがありますがややこしいのでまた別の機会に。